コラム

アドレスホッパーとは?働き方の多様化とともに定着していく概念なのか?

家を持たない生活をする人たち、アドレスホッパーといわれる人たちがマスコミから注目されています。

アドレスホッパーという言葉を産み出し、自ら実践しているのが、市橋政太郎氏という京都大学出身の元エリート会社員だったこともあり、その話題性にマスコミが飛び付いたという形です。市橋氏が「Address Hopper Inc.」という法人を設立し、アドレスホッパーの普及や浸透を推進しているのも、マスコミから注目されている理由のひとつでしょう。

では、アドレスホッパーとは具体的にどのような人たちのことを指すのでしょうか?家を持たないという決断にはどのような背景があり、実際にどのような生活をしているのか?

本記事では、アドレスホッパーがどのような人たちで、どのような生活を送っているのかを解説するとともに、登場の背景やアメリカとの比較を交えながら、今後アドレスホッパーが生活形態の概念として定着するのか?考察していきます。

アドレスホッパーとは?


アドレスホッパー(Address Hopper)とは、住所(Address)と、転々と移動する人(Hopper)を組み合わせた造語で、家などの決まった住居を持たず、複数の場所を移動しながら暮らす人たちのことです。

決まった住居を持たないという意味ではホームレスも同様ですが、なんらかの事情で「住居を持てない」人たちがホームレスなのに対し、アドレスホッパーは「自らの意思で住居を持たない選択をした」人たちだといえるのかもしれません。

前述の市橋氏は、転職によって半分までに減った収入と、希望する都内の住居賃貸料との差に悩んでいたところ、大学の先輩がAirbnbを利用しながら低コストで暮らしていることを知り、家を持たない決断=アドレスホッパーになったといわれています。

アドレスホッパーの定義はなにか?といわれれば、明確ではないのが実情ですが、ホームレスの人たちを「住所不定無職」とするならば、アドレスホッパーの人たちは「住所不定有職」とでもいえるのかもしれません。

アドレスホッパーとはどんな人たちなのか?


アドレスホッパーといわれる人たちが家を持たない決断をする理由はさまざまですが、決まった住居を持たないというだけで、一般的な社会生活を送っているのはほかの人たちと変わりありません。

もちろん、住居を持たないアドレスホッパーの暮らし方は、住居を持っている人たちとまったく同じというわけにはいかないでしょう。具体的にその違いを解説していきます。

アドレスホッパーはどんな仕事をしているのか?

住所不定有職ともいえるアドレスホッパーですが、どのような仕事をしているのかは、人によってさまざまです。会社員としてオフィスに通勤している人もなかにはいるようですが、好きな場所で暮らすことにプライオリティを置き、それに応じた仕事を選んでいる人も多いといえるでしょう。

たとえば、ITエンジニアやライターなど、企業に所属しながらもリモートワークが可能な仕事、フリーランスとして請け負える仕事などは、PCやWi-Fi環境さえあればどこでも依頼をこなせるため、アドレスホッパーには最適の仕事です。

ワーキングホリデーやバックパッカーのように、訪れた土地で住み込みの仕事をしながら転々と移動する、派遣社員やアルバイトをしながら住居費を切り詰めるためにアドレスホッパーになる、などのケースもあるかもしれません。

アドレスホッパーどこで暮らしているのか?

決まった住居がないからといって、アドレスホッパーが野宿をしているわけではありません。アドレスホッパーもその日その日、もしくは一定期間で暮らす場所を決めて確保しているのです。その場所はさまざまですが、以下のような場所に宿泊しているアドレスホッパーが多いようです。

  • ビジネスホテル
  • カプセルホテル
  • Airbnb
  • シェアハウス
  • ネットカフェ
  • カラオケボックス
  • スーパー銭湯
  • ファミリーレストラン

もちろん、安価に利用できるようになったとはいえ、ホテルばかり利用していたのでは、賃貸料以上に宿泊費がかさんでしまいます。このため、友人・知人宅を泊まり歩くというアドレスホッパーも多いようです。

民泊サービスでおなじみの「Airbnb」シェアハウス体験サービス「weeks」など、ルームシェアの概念が高まり、気軽に利用できるサービスが登場しているのもアドレスホッパーを後押ししている背景といえるでしょう。

アドレスホッパーの荷物・暮らしぶりは?

さまざまな場所を転々と移動しながら暮らすアドレスホッパーは、必然的に持ち歩く荷物を最小限度に抑えなければなりません。バックパック1つ、もしくはバックパック+小型スーツケースに、仕事用のPC関連、衣類、生活用品などを詰め込むという場合が多いようです。

ミニマリストとして、必要な荷物のみに絞れるのがアドレスホッパーの魅力、という人もいますが、どうしても持ち歩けない・処分できない荷物がある場合は、実家などに置かせてもらうという人もいます。

実家が使えない人であっても、段ボール単位で荷物を預かってもらえる収納サービス「サマリーポケット」などがあり、新品の衣類を借りられる「メチャカリ」や、洗濯代行&クリーニングサービス「しろふわ便」を利用して持ち歩く衣類を減らすなど、アドレスホッパーの暮らしをサポートできるサービスが数多く登場しているのも近年の特徴です。

アドレスホッパーの住民票・税金は?

居住地を転々と移動するアドレスホッパーが、その都度、住民票を移動させるのは現実的ではありません。かといって、住所不特定者になるというわけにもいかないでしょう。ほとんどのアドレスホッパーは、なんらかの手段を使って住民票登録しているようです。

  • 実家の住所で住民票登録する
  • 友人宅の住所で住民票登録する
  • 勤務先の住所で住民票登録する
  • シェアハウスの住所で住民票登録する

勤務先の住所を使う場合はシェアオフィスを、シェアハウスの住所を使う場合は、最低限の居住スペースを借りれる「ポケットレジデンス」などのサービスを利用するケースが多いようです。また、郵便物や宅配便の受取りも、営業所止めや宅は便ロッカー、コンビニ受取りなどが選択でき、ここでも有効活用できるサービスが多数存在することがわかります。

住民税に関しては、住民票登録をどこで行うにしても、その年の1月1日に住民票登録している自治体に支払う形になります。一方、不動産を持たないアドレスホッパーは、固定資産税を支払う必要はありません。

アドレスホッパーという生活概念が登場した背景


アドレスホッパーという言葉自体が誕生したのは最近になってからですが、広義の意味でアドレスホッパーといえる人たちは以前から存在していたといえます。海外で生活費を稼ぎながら旅するワーキングホリデー、地方に住み込んで仕事するなど、さまざまな人と出会いたい、さまざまな場所を訪れてみたいなど、自由への意識がある人たちです。

一方、市橋氏のアドレスホッパーコミュニティでは、自由への意識がありながらも、ITエンジニアやマーケター、コンサルタントといった職業を持つ人が多く、世間的なイメージとはやや異なるというのが正直なところでしょう。

こうした人たちがアドレスホッパーを選択した背景には、働き方に対する労働者の意識が多様化していること、働き方改革による多様な働き方が実現しつつあること、インフラの整備によってどこでも仕事ができるようになったことなどが挙げられるかもしれません。

ここまででも解説してきたように、シェアリングエコノミーへの意識が高まっていることにより、アドレスホッパーがリーズナブルに利用しやすいサービスが、多数登場しているのも無関係ではないでしょう。

アドレスホッパーのメリット・デメリットは表裏一体


それでは、アドレスホッパーを選択した人たちは、どんなことに魅力を感じて家を持たないという判断を下したのでしょうか?決まった住居を持たないことで、移動の自由が得られるアドレスホッパーですが、具体的なメリットとしてよく挙げられる要素には、以下のようなものがあります。

  • 住居に縛られず好きな場所に宿泊できる
  • 光熱費や水道代などを支払う必要がない
  • 移動先地域独自の雰囲気や風景を楽しめる

一方、デメリットとしてよく挙げられる要素には、以下のようなものがあります。

  • 宿泊先を探さなければならない
  • 常に荷物の整理が必要・宿泊費が変動する
  • 趣味の品物を買うなど、持ち物を増やせない

こうして見ていくと、アドレスホッパーのメリット・デメリットは、定住先を持つ人のメリット・デメリットとほぼ表裏一体であることがわかります。しかも、住む場所を自由に決められるからといって、アドレスホッパーが生活していくのに必要な手間を軽減できるわけではありません。定住するのに必要な手間がなくなる代わり、移動するのに必要な手間がかかるのです。

また、光熱費や水道代を支払う必要がないといっても、友人・知人宅に長居するわけにもいきません。その結果、節約できる住居費はせいぜい月2万円程度だともいわれています。アドレスホッパーのメリット・デメリット面や魅力をどうとらえるか?人によって感じ方はさまざまだといわざるを得ないでしょう。

アメリカにアドレスホッパーはいるのか?


それでは、リモートワーク先進国であるアメリカには、アドレスホッパーに該当するような人は存在するのでしょうか?もちろん、働きながら友人・知人宅を転々と泊まり歩く人は少なくありませんが、状況が大きく異なるため、市橋氏のようなアドレスホッパーがいるかというと、それほど多くないかもしれません。

ただし、移動式の家を購入して、仕事をしながらさまざまな土地を訪れる人もいれば、転職に応じてせっかく購入した家を惜しげもなく売却し、他州に移り住む人も数多く存在します。特に若い世代は頻繁に引越しするケースも多く、さまざまな土地に移り住むことに関して、アメリカ人はそれほど抵抗感がないといえるでしょう。

これは、転職=キャリアアップという意識が浸透した、人材流動性の高いアメリカの働き方が根底にあるからだと考えられます。住民票という概念がないアメリカでは、各州で取得する運転免許証が身分証明書になる、という事情も流動性を促す一因かもしれません。

一方で、自分の生まれ育った州から一歩も出たことがない、という人が多数いるのも事実です。つまり、リモートワークのインフラが整っていて、人材の流動性が高いアメリカでも、アドレスホッパーのような生活が向いているかどうかは「人」によるのです。

また、アメリカでも結婚・出産などのライフステージを重ねるに従い、定住に傾いていく傾向も見られます。近年、リモートワークから会社への出勤に働き方をシフトする傾向も強まっているため、働き方に関するアメリカ人の意識も、より定住へ傾きつつあるようにも思えます。

アドレスホッパーは今後、日本で定着する生活形態なのか?


市橋氏が設立した法人「Address Hopper Inc.」では、クラウドファンディングを通じてオリジナル雑誌の発行を目指しており、アドレスホッパーが暮らしやすい情報を発信していくとしています。そういった意味では、アドレスホッパーとして無理なく暮らしていくノウハウが得やすくなるため、認知度の向上とともに実践者が増加することも考えられます。

しかし、働き方の多様化が実現しつつあるとはいえ、アメリカのような人材流動性を日本に求めるのはまだまだムリがあり、転職や就職を含むさまざまな場面で住民票が必要になるのも事実です。マスコミの注目によって、アドレスホッパーを実践する人が一時的に増えたとしても、道半ばで挫折してしまう場合も少なくないでしょう。

一方で、アドレスホッパーと似た考え方を持った人たちが、以前から存在していたのも事実です。アドレスホッパーという言葉自体が残るかどうかはともかく、有効利用できるサービスを含めたインフラが整備された現在、働き方の多様化が進むとともに、家を持たないという選択肢が一定の割合で定着していくのかもしれません。

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