働き方改革

看護師の働き方改革と勤務間インターバル制度を世界一分かりやすく解説

日本の労働生産性を向上させるために、根本的な構造改革を推進する政府主導の取り組み「働き方改革」が、2019年4月1日に施行される働き方改革関連法案によっていよいよ本格化します。その目玉となるのは、長時間労働の是正を目的とする労働基準法の改正であり、これまで法的な拘束力のなかった時間外労働に、明確な上限が設けられたことでしょう。

一方、時間外労働の上限だけでは、長時間労働の是正が充分に進まないと思われる職種も存在します。それが、年間を通じて日勤・夜勤のある医療機関であり、そこで働く医師や看護師です。働き方改革関連法案に、努力義務として勤務間インターバル制度が盛り込まれたのはこのためです。

それでは、勤務間インターバル制度とはどのようなもので、看護師の働き方にどのような影響を与えるのでしょうか?努力義務とされた意義とともに分かりやすく解説するとともに、取り組み事例、勤務間インターバルの実現をアシストするツールの紹介をします。

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働き方改革とは?

働き方改革とは、少子高齢化による労働人口減少を補うため、女性や高齢者を含めた幅広い層の労働参加を促し、日本全体の生産性を高めるために成果主義を推奨するなど、日本での働き方を構造的に改革していく、政府主導による取り組みです。

労働参加率を向上させるため、すでに女性活躍推進法が施行されているほか、定年の延長や再雇用を推奨する、改正高齢者雇用安定法が施行されています。また、労働生産性を停滞させる要因となる、非正規雇用との待遇格差を解消するために、同一労働同一賃金関連法案の施行が予定され、成果主義を推奨すべく高度プロフェッショナル制度の導入が予定されています。

なかでも喫緊の課題は、過労死のリスクが高いうえに効率の悪化を招く、長時間労働の是正とワークライフバランスの確保でしょう。2019年4月1日施行の改正労働基準法では、この点を重視した時間外労働の上限規制とともに、勤務間インターバル制度の努力義務が盛り込まれているのです。

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看護師の働き方における課題

問題の多い長時間労働は、さまざまな産業で常態化していたといえますが、それは安全を確保したうえで24時間の対応を迫られる医療機関、そこで働く医師や看護師に関してもも同様です。2008年には20代の看護師2人が過労死認定されたこともあり、日本看護協会が「看護職の夜勤・交代制勤務に関するガイドライン」を2013年に公表、状況の改善に乗り出しました。

月間72時間超の夜勤で過労死リスクがハイレベルに

日本看護協会が、労働科学研究所とともに介護職の勤務状況を調査した結果、月間72時間を超える夜勤勤務は心身への疲労に明らかな影響が見られ、過労死リスクをハイレベルに押し上げることが判明しました。

同時に、過労死危険レベルといわれる、月60時間超の時間外労働が常態化していた看護師が、推計2万人以上にのぼることも明らかになったため、夜勤を月8日以内、72時間以内とするガイドラインを打ち出し、長時間労働の是正とワークライフバランスの確保を訴えてきたのです。

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日勤夜勤という課題を解決するには?

ところが、単純に夜勤や時間外労働を減らしても、それだけでは看護師の働き方における課題をすべて解決したことにはなりません。それは、業界で「日勤夜勤」といわれる、看護職が抱える課題です。

日勤夜勤とは、3交代制の現場で多く見られる勤務体系で、17時までの日勤が終了した後、その日の深夜に夜勤をするものです。この場合のインターバルは6〜7時間程度であり、通勤時間を含めれば、充分な休息時間が確保できるものではないことがおわかりでしょう。

2008年に発生した過労死認定のうちひとつは、看護師が勤務間の休息が充分にとれないまま、不規則な労働をしていたことに要因があったといわれています。これを踏まえ、ガイドラインで提言していた月8日、72時間以内の夜勤とともに、勤務間のインターバルを11時間以上確保することが新たに提言されるようになったのです。

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勤務間インターバル制度とは?

努力義務として法案化はされなかったものの、日勤夜勤など、看護師の勤務状況も加味して働き方改革関連法案に盛り込まれたのが、勤務間インターバル制度です。

すでにEU諸国では導入済の「勤務間インターバル制度」とは、勤務終了時間から次の勤務開始時間までの間を一定時間空けることで休息時間を確保し、結果的に労働時間を短縮させようという制度です。日本看護協会がガイドラインで示した提言のように、働き方改革関連法案でも、11時間以上の勤務間インターバルを設けるよう、企業が努力することとされています。

これまでは日本看護協会が、ガイドラインによって提言するのみにとどまった勤務間インターバルですが、努力義務とはいえ、勤務間インターバル制度として働き方改革関連法案に盛り込まれた意義は大きく、状況の改善が現場からも期待されているといえるでしょう。

看護師の夜勤の実態

それでは、関連法案の施行が2019年4月1日に迫る現在、看護師の夜勤に関する課題は少しでも解消されているのでしょうか?

日本看護協会が2014年に公表した調査によると、3交代制の看護師で月8回以上の夜勤をしている割合は約35%でした。2017年には、この割合が約30%にはなったものの、まだまだ改善が進んでいるとはいえないのが実態でしょう。

その理由には、ワークライフバランスやキャリアの継続が進んだことで、夜勤をできない看護師が増え、そのしわ寄せがほかの看護師に降り掛かっているという状況もあるようです。

https://fukugyo-beginner.net/work-style-reform-36

看護師の時間外労働を是正するマネジメント

夜勤の上限を含め、看護師の長時間労働を是正するためには、勤務間インターバルの制度化を業界あげて推進していくと同時に、業務効率化や管理側のマネジメントを工夫していくしかありません。

これまで手作業で行っていた業務をICT化で合理化するほかにも、現場をうまくまわしていくために体制や人員配置を整えるのが重要です。その一部を紹介してみましょう。

消灯時間の延長・撤廃で夜勤者の負担を軽減

入院病棟では一律の消灯時間が決められていることが多く、どの病院でも21時と定められているのが一般的です。しかし、21時にすべての患者が眠れる体制になるわけではありません。この点に着目し、消灯時間を延長・撤廃し、患者の悩みを聞いたりテレビを見たりする夜のケアという時間を設けた病院がありました。

結果、患者が自然に眠くなるまで活動できるため、睡眠導入薬の服用が減り、夜間の転倒事故なども1/3に減少したということです。これによって夜勤の人数を減らせ、看護師の負担も軽減できました。

日勤の時間帯を業務実態に合わせて変更

日勤の看護師が時間外労働を余儀なくされる要因のひとつに、入院患者への対応変更など、医師の指示が夕方以降にズレ込みがちなことが挙げられます。看護師がこれに対応するため、通常17時の日勤を延長し、時間外労働を行うことが多かったのです。

これが常態化しているならば、慣例に従った勤務時間にこだわらず、実態にあわせてフレキシブルに勤務時間を変更して対応するのが有効です。

突発的な事態に備えた応援システムの構築

日勤・夜勤を問わず、突発的な事態に備え、病棟では余裕を持たせた人数の看護師を確保しておきたいのは事実です。しかし、人手不足が深刻になる状況では、余裕を持った人員を配置するのは勤務間インターバルの確保を難しくしかねません。

最低限必要な人員を確保したうえで突発的な事態に備えるには、人員配置に余裕を持たせなければならないICUや救命救急センターなどに協力を要請し、なにかのときには応援してもらえるよう、看護部を主体とした応援システムを構築しておくのが有効です。

リーダーが主導して業務を分担

看護師に限りませんが、個々人の経験やスキルによって、業務遂行の効率は大きく異なります。これをそのまま放置していれば、特定の職員だけが長時間労働することにもなりかねないでしょう。

これを解決するには、リーダーがまわりの看護師の状況に気を配り、分担できる仕事、協力できる仕事を見極め、チームに割り振っていかなければなりません。もちろん負担を軽減するだけでなく、タイムマネジメントのコツを教えるなどで、看護師を育成していく姿勢も示さなければなりません。

看護師の有給休暇取得に向けて

長時間労働や日勤夜勤という課題に加え、看護師からは有給休暇が取得できない、長期休暇が取得できないという声が多く聞かれるといわれます。しかし、今回の働き方改革関連法案では、年間10日間以上の有給を与えられた従業員は、5日間の有給消化が義務化されます。

安全で安心できる医療体制を確保するためにも、医療機関は看護師の有給取得もケアする必要があるでしょう。

有給休暇取得計画書を作成する

従業員である看護師は希望する日程で有給休暇を申請でき、雇用主である医療機関は業務に影響が出ない限り、希望どおりの日程での有給取得を許可するのが基本です。しかし、シフト管理の難しい医療機関では、看護師の希望どおりの日程で有給取得するのは困難なようです。

こうした課題を少しでも解決するため、年次・月次での有給休暇取得計画書を作成し、あらかじめ看護師の希望を吸い上げておく努力が必要です。特定の期間を指定して従業員に年次有給休暇を付与する「年次有給休暇の計画的付与制度」を利用するのがいいでしょう。

半日・時間単位の有給休暇を導入する

有給休暇の取得単位は1日、もしくは半日単位が基本ですが、現在では労使協定を締結すれば時間単位での有給取得が可能です。これを活用して、子育て中の看護師などの便宜をはかり、満足感を向上させていくのもひとつの手段です。

多様な働き方を容認するダイバーシティ導入とあわせ、働きやすい職場としての環境構築にも役立ちます。

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働き方改革取り組み事例:神奈川県済生会横浜市東部病院

横浜市内で高度な含意料などを提供する、神奈川県済生会横浜市東部病院は、働き方改革関連法案施行を前に、いち早く勤務間インターバル制度を導入しました。有給休暇付与も含めた看護師の働き方改革推進に取り組む同病院の事例を紹介しまししょう。

同病院では日勤・夜勤の2交代制を採用していますが、もともと夜勤中に仮眠できる体制を整えており、人員配置や体制にも問題はありませんでした。しかし、通常は日勤に限定される内視鏡室・手術室担当の看護師は、自宅待機で緊急連絡を待つオンコール業務を、週に一日受け持たねばなりませんでした。

たとえば、深夜以降にオンコールを受けて業務が発生すると、当日の日勤開始時間までに充分な休息時間が取れず、疲労した状態で患者に対応することになってしまいます。

これを解決すべく導入されたのが勤務間インターバル制度であり、オンコール業務日の0時以降に業務が発生した場合、翌日を有給休暇にすることで勤務間インターバルを確保することにしたのです。この制度の導入で、気兼ねなく休暇が取れるようになった看護師からは、生活にメリハリができたことで業務により集中して取り組めるようになったと好評です。

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勤務間インターバル制度をアシストする勤怠管理システム紹介

勤務間インターバル制度では、11時間以上の勤務間インターバルを設ける努力をすることとされています。しかし、23時で業務が終了した場合、11時間のインターバルを設けると翌日の出勤は10時以降となるため、定時が9時であれば始業時間に間に合わなくなってしまいます。

こうしたシフト管理は勤務間インターバル制度の悩みでもあり、すべての条件を満たしたシフトを手作業で作成するのは困難だといえるでしょう。そんな場合に有効なのが、シフト作成機能を持つ勤怠管理システムです。医療機関でも活用できる、自在なシフト作成機能を持つおすすめの勤怠管理システムをいくつか紹介しておきましょう。

jinjer勤怠

jinjer勤怠は、多彩な打刻方法に対応し、医療機関で悩みの種となりがちなシフト作成、勤務実態の可視かができるクラウド型勤怠管理システムです。PCやICカードリーダーを使った打刻はもちろん、スマートフォン・タブレットを活用したGPS打刻、チャットツールを利用した打刻に対応、Apple WatchやGoogle Homeでも打刻可能です。

フレックスや変形労働の管理にも対応するため、夜勤や当直のある医療機関でも簡単にシフト作成可能。人員の過不足も一目で判断できます。また、有給休暇や特別休暇、振替休日の管理もでき、実際の勤務状況も可視化できるため長時間労働の是正にも役立つでしょう。

かえる勤怠管理by医療

かえる勤怠管理by医療は、レンタル料無料のICカード打刻や携帯電話スマートフォンでの打刻、FAXでの打刻に対応し、医療現場のニーズに応えたクラウド型勤怠管理システムです。2交代や3交代を含む、医療現場の働き方に最適化されたシフトが簡単に作成でき、看護師の希望も加味したうえで自動作成可能です。

もちろん、休暇の状況をあわせた勤務実態をシフト表とつきあわせて管理できるため、適切な人員配置を検討するのも可能。初期費用無料、1拠点月額5,000円という利用料金の手軽さも魅力です。

中小企業がとるべき働き方改革の施策とは。課題解決のサービスを紹介長時間労働の是正を目的に、時間外労働の罰則付き上限規制、有給取得義務化などを盛り込んだ働き方改革関連法が、2019年4月1日からいよいよ...

まとめ

看護師と同様に長時間労働が常態化しやすい産業として、建設業や運送業の存在が挙げられます。しかし、運送業のなかでも安全・安心の確保が絶対条件となる航空業界では、不規則になりがちな勤務体系は医療業界と同様ながら、インターバル休憩が規程として設けられていたのが異なります。

同様に安全・安心が絶対条件である医療の現場でも、看護師の勤務間インターバルがいかに重要かは想像するまでもないでしょう。

私たちが安心して医療サービスを受けられるようにするためにも、長時間労働の是正と勤務間インターバル制度の定着を推進し、看護師が業務に集中できる環境を構築しなければならないのです。

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